イギリスの春、夏は野球のベストシーズン、待ちに待った季節です。

野球道具
じーおん⚾べーすぼーる

イギリスでも野球シーズンが始まっています。

野球シーズン? そんなのあるの? イギリスで野球できるの?

4月から9月まで、イギリスはとても気候がよく野球をするにもいいシーズンです。

試合ができるほどチームがあるの?

はい、イギリスには今、ロンドンを中心に、女子リーグを含めて、5つの野球リーグがあり、たくさんのチームが参加しています。

僕は、約16年間、イギリスで野球を楽しみました。この間に野球チームはずいぶん増えましたが、イギリスの野球シーズンが4月から9月というのは変わっていません。

この記事では日本の草野球とは一味違った、イギリスの野球シーズンについて

*1年間のだいたいのスケジュール
*イギリス野球リーグと試合形式
*グラウンド設備
*イギリス野球の醍醐味

といったことをご紹介します。

イギリスやヨーロッパでの野球人気についてご関心のある方は、是非ご覧ください。

イギリスの野球シーズンは4月から9月

年間スケジュール

イギリスの野球シーズンのオン・オフの時期については、だいたいこんな感じです。

イギリス野球の年間スケジュール

オンシーズン

イギリス野球グラウンドに咲く白い花
春になると野球グラウンドにも花が咲きます。

日本の草野球と比べたら、イギリスの野球シーズン本番が4月から9月というのは短いですね。イギリスでは3月最終週末に冬時間から夏時間に変わります。その翌週、4月の最初の週末くらいが開幕です。(まだ、この時期は天候が不安定で、開幕が翌週に流れるということもあります)

夏時間に変わると、徐々に日の出は早く、日没は遅くなります。明るい時間が長くなり、毎週末、野球をする季節到来です。この時期、名前は知らないのですが、黄色い花がいっせいに咲き出します。試合に行く途中でも、よく見かけ、春になったんだな、野球のシーズンが来たんだな、と毎年心躍りました。

イギリス野球グラウンドに咲く黄色い花

シーズン中、試合は、どのリーグも4月から8月の毎週日曜日にあります。

イースター連休や夏休みにあたる時期などはみんな家族サービスが優先されるので、そういう時期の週末はあらかじめ試合が組まれていなかったりします。スケジュールしておいても人が集まらないことが多いからです。

それと、最近では6月のどこかの週末にメジャーリーグの公式戦が開催されるので、その際はイギリスのチームは全試合なしです。

また、シーズン中は週の真ん中くらいに練習の時間もあります。チームメンバーは働いている人がほとんどなので、必ずしも全員が毎回参加するわけではないのですが、夏は午後9時でもまだ明るいので、仕事の後、体力さえ残っていれば、練習参加も気持ちのよいものです。

4月から始まったシーズンは、8月末にはどのリーグも優勝チームが決定します。

ポストシーズン~オフシーズン

ポストシーズンは9月第1週目または2週目の週末に開催されます。各リーグ上位チームの最終決勝戦です。(日本のプロ野球のクライマックスシリーズに少し似ています。)

トップのナショナル・リーグでは、この最終決勝で優勝すると翌年行われるヨーロッパ大会に参加することもできます。

ポストシーズン終了後は、だいぶ涼しくなりますが、まだ野球ができる時期です。10月初めくらいまでは、希望チームが集まって親善試合をやったりします。

10月半ばを過ぎると、気温も下がり、日照時間も短くなり冬時間到来、野球もお休みに入ります。再開は年明け、体育館やスポーツ施設を借りてトレーニングが始まります。早く外でバットとボールで練習したいですが、とても寒い時期なので、屋内でのトレーニングが主体となります。

もちろん、オフの間に個人的にトレーニング、練習を続ける人もいます。僕はオフシーズンには、よくバッティングセンターに行きました。(イギリスにもバッティングセンターはあります)

イギリス野球冬の屋内トレーニング
冬の屋内トレーニングの例

プレシーズン

開幕前月の3月には、屋外の練習も始まります。希望チームが集まって、オープン戦(練習試合)のようなこともします。翌月の開幕に合わせて、チームによってはグラウンド整備や、設備の追加をする場合もあります。

イギリス野球春の屋外トレーニング
春先には外でのトレーニングもありますが、寒々しいです。

毎年、新しく野球チームに加入を希望する人は3月までに希望チームに届け出をして、期限までに参加費用を払います。(費用はチームによって違いますが、僕は、毎年だいたい15,000円くらいを払っていました。)とはいえ、基本、どのチームも参加してくれる人は大歓迎で、シーズン中でも、メンバー募集中、いつでも見学、加入可能です。

各チームは単独のチームとして存在することは少なく、野球クラブの中にレベルに応じて複数のチームがあることが多いです。たいてい、自分の住まいに近いクラブを探して、自分に合ったチームに参加します。

メンバー募集は日本人がいるチームは日本人向けのコミュニティ誌を利用することもありますが、チームやクラブのホームページ、SNSで募集することが多いです。ほかには野球ファンが集まるイベント、スポーツのイベントなどで募集チラシを配ったりすることもあります。

3月の時点で、十分なメンバーが集まっていないとチームとして成り立たなくなり、他のチームと合併したり、今年のリーグ参加はあきらめるなどしなければならない場合があります。全体のチーム数、チーム編成は毎年変わります。

毎年、今シーズンのリーグ参加希望のチームはBBF(ブリティッシュ・ベースボール・フェデレーション)という統括組織に登録をして費用を支払います。その後、今年のリーグのスケジュールが発表されます。

毎シーズン、成長しているイギリス野球リーグの規模

2024年のイギリス野球リーグ

イギリス草野球、2024年のシーズンはレベル別に5リーグあります。

イギリス野球2024年のリーグ

ここに紹介している以外のリーグ、大学のリーグなどもあります。

僕は2020年までイギリスで野球をしていました。年々、チームもリーグも大きくなっていくと感じてはいましたが、僕が辞めてからも、ずいぶんチームが増えてリーグ編成も複雑になりました。女子リーグができたのは数年前だったと思います。

野球人口が増えたと、つくづく感じます。イギリスやヨーロッパの野球を応援したい僕としては嬉しいです。

試合形式

試合は基本的に7回まで、2試合、ダブルヘッダーとなります。

チーム数にもよりますが、だいたい2回(4試合)ずつ、ホーム試合、ビジター試合となります。

全試合終了後、勝ち数が最も多いチームが優勝です。ポストシーズンはトーナメント形式となります。

途中、点差によってはコールド試合もありますが、グラウンドを借りている時間の制限などはないので、何時間かかっても2試合、きっちり最終回、時には延長戦(10回まで)までやりとげます。

それから、使用するボールは硬球です。バットは木製です。

試合には正式な審判もいます。BBFで審判養成コースを受講し、審判となります。審判の中には野球を引退して審判になったという人も多くいます。

イギリス野球の審判

ホームグラウンドと遠征

試合会場となるグラウンドですが、日本の草野球はグラウンドを予約して試合を行うことがほとんどですが、イギリスは、各野球クラブがホームグラウンドを有しています。

ホームグラウンドは、クラブまたはチームによって事情は違いますが、自治体などと話しをして、利用料を払い、公園やスポーツ施設の一部を野球用として通年、使わせてもらったりします。

最初は、ただの公園、広場、といった程度ですが、少しずつ、設備を加えて、だんだん野球場らしく整備していきます。一面だったプレーグラウンドを二面、三面と増やしていくクラブもあります。費用はチームに払う部費や募金活動で得た資金を利用します。

冬の間、自分たちでも土を盛ったり、草を抜いたり、といった作業をする場合もあります。ホームグラウンドには自然と愛着がわいてきます。

イギリス野球グラウンドの整備道具
イギリス野球場のネット
あのオレンジ色のネットの向こうに飛んでいったらホームランです。ネットも試合前に準備します。

ホームチームは、試合前には、グラウンドに自分たちで、トンボをかけたり、ラインを引いたり、ネットをはったり、ベースを埋め込んだりという準備をして、試合終了後は、後片付けをします。これが結構、時間がかかります。ビジターの時は、遠くまで移動しなければなりませんが、準備・片付けはないので、その分は楽です。

イギリス野球グラウンドフェンスと観客席
観客席スタンドがある野球場は珍しいです。

グラウンドは客席があるような場所は、ほとんどないので、観戦、応援にきた人たちは、椅子やレジャーシート持参です。小さい子供や犬を連れてくる家族もいます。日本のように蒸し暑くなく、野球をするにも観戦するにもイギリスの野球シーズンは、とてもよいです。

イギリス野球グラウンドの馬
イギリスの野球はのんびり? グラウンドに馬が来ることも。
イギリス野球グラウンドのウサギ
グラウンドに来たうさぎ。
イギリス野球グラウンドに来た犬
チームメイトの家族の犬。

遠征には、基本、車で行きます。集合時間までにそれぞれ向かいますが、車を持っていない人は、持っている人が途中で拾っていくことが多いです。その場合は、車の中で野球談議が始まり、にぎやかな移動になります。

ロンドン中心とすると、だいたい片道1時間程度の場所にグラウンドが集中していますが、片道2時間以上かかる場所への遠征もあります。

野球シーズンを通して感じるイギリス野球の醍醐味

イギリス野球仲間のパーティー料理
チームメイトたちと開いたパーティー。それぞれ出身国の料理を作って持ち合いました。

野球チーム、クラブともイギリス人だけで編成されていることは少なく、所属メンバーにラテン系の人が多いチームや、アジア系の人が多いチームもあります。(以前は日本人が中心となっているチームもありました)まんべんなく色々な国から来た人が参加しているチームもあります。女子や子供、少年野球の普及に力を入れているチームもあります。

クラブ、チームそれぞれにカラー、特色がありますが、どのチームも野球好きばかりが集まっているので、言葉が充分通じなくても、野球を通してコミュニケーションがとれます。色々な国の野球や、お互いの出身国についての話ができて、すごく楽しいです。

日本人である僕に対して、メジャーで活躍する日本人選手の話や日本のスモールベースボールについて興味を持って聞いてきてくれる人もいました。僕は英語は得意ではなく、全て理解できないこともあるのですが、それでも、みんな熱心に聞き、話してくれました。もっと複雑な話ができたらな、と思うこともありましたが、ただ野球をプレーするだけでなく、こうした色々な国の野球仲間との交流が、僕にとってはイギリスで野球をすることの醍醐味でした。

野球の楽しみ方は人それぞれだと思いますが、もし、イギリスで野球をする機会があったら、是非、日本とは一味違う野球を存分に楽しんでいただきたいなと思います。

まとめ

4月から9月はイギリスの野球シーズンです。イギリスの春・夏は日本のように蒸し暑くなく、野球をするには、とてもよい季節です。イギリスで野球を楽しむ人は増えており、野球チームの数も年々、増えています。

日本に比べると少し短い野球シーズンですが、シーズン中の週末、ドライブがてら遠征に行ったり、イギリスに集まってきた色んな国の野球仲間と過ごす時間は、野球好きにとっては、大変楽しい時間です。

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